ドゥ・ザ・ライト・シング
Do the right thing。その昔、スパイク・リーの映画にありましたね。
いまやテレビやウェブはネガティブニュースが溢れています。
以前、テレビの深夜枠で『ぺこぱポジティブNEWS』というのがありました。彼らの芸風よろしくポジティブなニュースだけを取り上げる斬新なバラエティだったのですが、あっという間に終了。どうやらポジティブは受けないようです。
僕らはネガティブを求めているのか? いやそんなことはない!と思いたい。
ボランティアで関わっている保護犬の話なんですが…(小声で)あっ、ついでながら、ボランティアという言葉にはいつもこそばゆさを感じてしまいます。
このところ犬の引取依頼が頻繁に舞い込みます。いろいろな事情があるとはいえ、まさに駆け込み寺です。
なかには引き取るのが当然といった感じで極めて事務的に連絡してくる人もおり、なにか勘違いされているのでは?と思わざるを得ないケースもあり…
先日も「何社か問い合わせをしましたがやはりヘルニアによる下半身麻痺の子は引き取れないとのことで八方塞がりです」との連絡が入りました。保護犬ブームとはいえ保護犬も選別されてしまうんですね。
このヘルニアの子、シェルターに来ることになりました。いつも代表が口にするのは「だって、うちが引き取らなければほかに行くところがないんじゃない?」
この言葉の重み。
覚悟と想いをもって、20年以上毎日毎日続けてきたからこそのすごみとでも言うんでしょうか。いつも打ちのめされてしまいます。自分には絶対ムリ! スゴ過ぎる!
で、これをささえているボランティアスタッフの方々もスゴいんです。
自分なんぞは最近めっきり足が遠のいてしまい、ホント申し訳ないのですが、みなさん黙々とわんこのお世話をされていらっしゃる。
別にお金が出るわけでもなく、誰かが持ち上げてくれるわけでもなく、ただただ、そうしたいからそうされている。休む人がいたら、当たり前のように代わりの人が手を挙げて交代する。
いつも頭が下がるんです。日々忙しいなか、ムリせず、黙々と、粛々と、当たり前のように動かれている。まさに「おとなの世界」です。
これまでもアイドルや俳優の方が自ら連絡をくださり、プライベートな時間を使って活動しています。ウェブに自己顕示欲の塊のような記事が溢れるなか、あえて自分の名前をさらすことなく、ごく自然にウンチをひろったり、ご飯の準備をしたり、お散歩に行ったり。わんこをかわいがってくれるのです。
世の中ってこんなにも善意に満ちた場所があるんだと気づかずにはいられないわけで。
ただ、どうでもいいことばかりに目を奪われてしまうと、こんな場所の存在に気づけなくなるんでしょうね。
ボランティアも組織のひとつ。これは会社であったり、学校と変わりなく、常に順風満帆というわけにはいきません。
それでも、「おとなの世界」の住人は自律的に、穏やかで素晴らしい時間を作り出しています。スタッフとしてそれを感じ取れる喜びは他の組織では得難い経験です。わんことスタッフの皆さまに感謝です。
クレドやパーパスなんてなくても、それぞれの「Do the right thing」でつながっている組織は最強なんです。